南極の図書館

ペンギンが寝ていた…。

魔法のボタンを作って欲しいユーザーと、受けたいけど断るSEの話

はじめに

受注側のSEと発注側のユーザーが、発注側の情報部を通さずに会話すると、大体こうなる。

「今は、確認画面とかいっぱあって、帳票出すのに時間かかるんですよ」
「はい」
「これ全部要らないので、ボタン一個押すだけで、帳票でませんか?」
「えっ」


「だって、事前登録、登録、確認、承認、なんて毎回やりたくないですよ。実際に上長の承認が必要なのは10件のうち大体4件くらいなんですよ。残りの6回、早くなりませんか?」

こう言われたらどうするのが良いのだろう。
上記で言うような「魔法のボタン」は論外として、例えば、事前登録時に「登録、確認、承認の工程を全て飛ばしますか?Y/N」のような確認を入れるべきか。
考えてみよう。(…などと書いてたらものすごい長文になったので以下はいっぱい削って簡潔にした。)

考えてみる

前提として「上記の会話は全て正しい」こととする。
(要するに、ホントに6/10はすっ飛ばして構わないという裏付けがある。)

利害関係

さて上記の要件を飲むことで、少なくとも要望を出した「発言者」は喜ぶだろう、では泣くのは誰か。
・ユーザーか?
上記の通り「発言者」は困らない、困るとしたら別のユーザーで、それはあり得る。
「発言者」の業務は本当に6/10すっとばせるが、別のユーザーは残り4/10と言われている部分の担当が多いかもしれない。その場合は「工程を全て飛ばしますか?」なんてメッセージが増えたら画面を殴りたくなるかもしれない。


・情報システム部か?
可能性はある。この機能を実装した後に「確認」や「承認」のフラグがおかしいなどという障害が起きたとする。
その場合はユーザーに「どういうオペレーションしましたか?」なんて聞かなきゃいけなくなる。今までは「道は一つ」だったのに、今は「道が二つ」あるからだ。
「入口と出口が一緒なのに道が二つある」というのは嫌なものである。


・SEやPGか?
これは明らかにYESだ、開発するからだ。
もっというと、開発はいいのだが「締め切りは変わらないのに開発しなきゃいけない」とか「予算は変わらないのに開発しなきゃいけない」とか、そういうことがよくあるのだ。予算が増えて納期が延びるなら、困ることは何もない。
また、細かいことを言うと、事前登録の後に「工程を全て飛ばしますか」が入るとして、そこにYが入ったときに「登録、確認、承認」で変更するものを一気に変更する必要がある。そういうパターンはバグの温床で、ユーザーが思っているより時間と金はかかる。(だから時間も金もあまり出ない)
業務上は見た目が「事前登録済」→「承認済」になるだけかもしれないが、持つデータは膨大だったりするのだよ。

結論

細かいことはともかく、ここで何が一番問題かというと「ユーザー」がやれっていったことに対して「情報システム部」が反対するという図式だ。
ユーザーは情シスに「わかってない」と言う。
情シスはユーザーに「わかってない」と言う。


こんな一例だけ見ても反発するのに、SEが話せるのは「情報システム部」だけ、というパターンが多いことが、そもそも問題ではないか。


3者で相談するのが理想だし、出来る限り間を取って解決すべきだと思う。
ただ、3者で相談するとどこも好き勝手言うから、政治的な力で決まってしまうんだよね。
まぁ2者でも政治力は重要だけど。


なんて思いながら、4月も私はユーザーと情シスと相談しないといけないわけですが…。
救いは「3者」で相談できてること。「生の声」がたくさん聞けて経験になっている。
3月もたくさん「魔法のボタン」つけてくれっていわれたけど、全部断ったよ。


同じ問題について、もう2,3個、別の観点から書きたいんだけど、それはまたの機会があれば。


参考URL
Gothedistance■@ITさんにインタビューが乗りました
http://d.hatena.ne.jp/gothedistance/20100401
@ITの該当記事
http://www.atmarkit.co.jp/job/comp/111mynavi/taiken/02/01.html