南極の図書館

ペンギンが寝ていた…。

2ちゃんねるはなぜ潰れないのか? を読んで。

3年前に書店で見たときはタイトルだけ見て敬遠していたんだけど、先日気になって買ってしまった。
読んでみると、タイトルと内容がほぼ関係なく、大変面白かった。
(タイトルと内容があってないのは本来良くないことなんだろうけど、私はタイトルを見て敬遠していたというのもあって、むしろ良かった。)


本の内容は、ひろゆきが大きいテーマにそって語っていくもの。
抑揚がないというか、個人の感情をぶつけてくることが殆どなく、突飛な論を出すことも無いので読みやすい。
それでいて、物事を見る、その角度は鋭い。
私が、対談以外で印象に残ったものは以下の3つ。どれも文字にされると、はっと気付かされる。

P39
技術者でない人間が技術を評価するというのは、医者ではない人間が下した「この医者の技術はすごい」という評価があまり納得できないのに似ています。
〜
もし、理解もしていないのに褒めているのであれば、それは手品師を見てすごいと言っているのと、あまり変わらない。

P148
発泡酒と第三のビールは、美味しいビールを作り出すために考案されたものではなく、税金の安いビールに似たまずいものを一生懸命造っているというものです。
〜
それであれば、美味しいビールを造り世界に売り出す技術を磨いたほうが、国益のためにも良いはずなのです。
このように法律が技術発展や利益の見えない足かせになっている事実は、確かに存在するのです。

P152
ローレンスレッシグがこう言っています。「世の中で人間が行動を決める要因は、道徳と法律と市場とアーキテクチャの4つである」と。
〜
僕はインターネットによって引き起こされる問題の対処は、市場が決めることだと考えています。
〜
最終的に、売れるか売れないかの市場原理でコントロールする以外、方法がないのではないでしょうか?


※「〜」は、「(略)」に読み替え。


また、本書には対談が2つあり、それがまた面白い。
対談「佐々木俊尚×ひろゆき」では、Web2.0とは何か、佐々木さんから見たひろゆきと梅田望夫について。がメインになっている。
対談「小飼弾×ひろゆき」では、プログラマーの二人が語る。といった感じ。


佐々木「(ひろゆきと梅田望夫について)理想と現実のせめぎ合いに生きている我々の気持ちを、2人とも理解していないな、という感じはちょっとするかもな。」
小飼「2ちゃんねるという場所は、書いても読んでも何も起こらないというデバイス、効果的な欲望の「/dev/null」になっている」
ひろゆき「普通、武器を作るということは、武器を使われるリスクがあるという意識になるんですけどね。」


など、インパクトのある発言も多く、読み応えがある。
敬遠しないで当時読んでおけばよかったな、とも思うけど、今だから理解できる部分もある。
ここまで良本とは、想定外だった。