南極の図書館

ペンギンが寝ていた…。

「20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義」は20歳には薦められない。


私は、妹の誕生日には本を贈ることにしている。
数ヵ月前から今年は何を贈ろう?と、本屋やwebを歩いて候補を探していて、そのうちの一つが本書であった。


本書は、著者が「自分の息子がのために」と書いたらしい。
まさに私と同じ目的なので、プレゼントするには最適かもしれないと思った。
そして読み終わった。
結論から言うと、これは無しかな。
「20歳のための」とあるが、18歳以下または26歳以上のための本かなと思ったから。
読み終わってすぐ、感覚的にそう思った。
その理由の一つを今日は書こうと思う。
なお「良本」だと思う。5点満点だったら4点。

この本はなんなのか?

内容は、タイトルの通り「20歳のときに知っておきたかったこと」だ。
その中でも、私が受け取ったメッセージは大きく2つ。

  • 20歳の頃に自分が不可能と思っていたことは、不可能でもなんでもないことばかりだった。
  • 世の中には、誰かから許可を待つ人と、自分で自分に許可を与える人がいる。後者でありなさい。


「この本はなんなのか?」という問いの答えは「自己啓発本だ」となる。

思想の裏付け

「自己啓発本」というジャンルでは、メインとなる思想と、根拠となる事象が書かれる。
思想については「思想なので」としか言えないが様々なものがある。
「根拠となる事象」もそれに合わせていろいろあるのだが、パターンとして私は大きく3つに分類できると思っている。


1つは偉人が行ったことを根拠として述べるものだ。
「リンカーンは」とか「ベンジャミンフランクリンは」とか。または、広い意味で「とある富豪が」というパターンもある。
その場合「この立派な人物は常にこう考えていました。だから成功しました。私たちもこう考えるべきなのです」と書かれる。


2つ目は、社会的に未熟な者が行ったことを述べるものだ。
「4歳の息子が」とか「高校生になりたての若者が」とか。あるいは「新入社員が」でもいい。
これは「特別な人間でなくても、訓練を受けた人間でなくても、こういう考えを持つと何かを達成できますよ」というタイプ。


そして3つめは「著者」だ。
「私はこう考えて行動したら、うまくいきました」というもの。「ソースは俺」ってヤツだ。
もちろんその著者は成功者でなければならない。
それでは「偉人」と同じではないか?という人もいるかもしれないが、全然違う。


この3つのどれを好むかは人による。
偉人がやったといわれると燃える人もいれば「それはもともとの素養が違うんだ」という人もいる。
「高校生でもできるなら私でも」と思う人もいれば「高校生の頃ならできたけどオレはもう30歳なんだよ」という人もいる。
著者が実際に成功したと書かれていても「運だろう」と思う人もいる。


本書では、その実行する人はだいたい「学生」である。「優秀な学生」である。
それが今回「私が妹に贈らない理由」だ。
私の妹は「優秀な学生」ではないし、おそらく刺激を受けにくいのではないかな、と思う。

この本を薦めるなら何歳か?

本書から刺激を得られるのは「大学生になってない人」か、「大学生を少し遠くのものと捉えれる人」だと思う。
大学生のうちに読むなら1年生のうちに読んでおきたい。
20歳=3年生の頃に読んでも、少しの「手遅れ感」を受ける気がするので。
結論として、本書は「15~18歳または26歳以上の方」にオススメする。