読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

南極の図書館

ペンギンが寝ていた…。

はてな年間100冊読書クラブ 1冊目「読書力」

book はてな年間100冊読書クラブ

今日から始める100冊。
1冊目は読書の本がふさわしいかな、と思ったのでこちらを。

はじめに

この本との出会いについて。
404 Not Found - ゆーすけべー日記で、「あまり斎藤孝氏の本を最初に紹介はしたくないのが正直なところである」とあり、良い本なんだろうなと思った。


そもそも、プログラマーが読む本といえば、言語や開発手法の本をのぞけば「人月の神話」「ハッカーと画家」や、物理・数学の本、あとはSFが多い。
少なくとも私の周りでそれ以外の本を習慣として読んでいる人はいないので、上記の「10冊」はリストとしても興味深い。

序章

本書は一言で言うと「本読め」という内容である。
読書にはどういう意味があるのか、読書の方法にはどういうものがあるのか、ということが丁寧に説明される。
中でも、私は序章が重要だと思うので、いくつか引用させていただく。

P3 この本は、この「なぜ読書をしなければいけないのか」という問いに、答えようとするものだ。
P5 本は読んでも読まなくてもいいというものではない。読まなければいけないものだ。こう断言したい。
P8 私が設定する「読書力がある」ラインとは、「文庫100冊、新書50冊を読んだ」というものだ。
P10 文庫本を自分で書店で選んで書い、カバンやポケットにいれておいて、暇を見つけては読む。こうした生活習慣があるかないか。

少し厳しいだろうか。
読んでみるとすぐわかるのだが、これは著者の愛から来るものである。

P4〜P5
私がひどく怒りを覚えるのは、読書をたっぷりとしてきた人間が、読書など別に絶対しなければいけないものでもない、などと言うのを聞いた時だ。
こうした無責任な物言いには、腸が煮えくりかえる。
(略)
私は、自分自身の自己形成が読書に大きく負っていることを認識している。
自分が考えるときに、読書によって培われた思考力が生かされているのを感じる。
対話をするときにも、読書経験が大きくプラスに働いていると日々感じている。
読書を通じて得た様々な力を日々活用しているので、「読書はしなくても構わない」などと若い人にむかっていうことはできない。

私も同意する。
「もし、今まで読んできた本を読んでいなかったとしたら、今頃どうなっているだろうか」
そう考えたときに頭に浮かぶのは、ホラーか、笑えないコメディである。
「本は読まなければいけないものだ」と私も断言したい。

内容

序章が終わると3章構成で、それぞれ「自分をつくる」「自分を鍛える」「自分を広げる」となっている。
全体を通して、私が重要だと思った箇所について要約する。


・「読んだ」とはどういう状態か
本の半分以上に目を通し、要約が具体例を含んで言えるのならば「その本は読んだ」と言える。


・読書力は社会でも必要とされている
資料を10冊ほど渡されて、1,2時間で的確に処理出来る人には多くの仕事を頼むことができる。
150冊も読んで、知力や教養が表に出ないように振舞うのはむしろ難しい。


・自己形成
読書は自分を作る最良の方法である。
読書の幅が狭いと、一つのものを絶対視するようになる。冷静な判断ができなくなる者は、知性や教養があるとは言えない。
人間は努力する限り迷うものだ(ゲーテ)。自分の中で一冊の絶対的な本を作るのは宗教である。いろいろな主張の本を読むことで世界観が練られる。
会話の基礎的な要素としても必要な「同じ内容を自分の言葉で言い換える」ためには語彙が必要であり、それは読書によって効率的に鍛えられる。
考えることを支えているのは言葉の豊富さである。


・読書と体験について
「読書より体験が大事」というのは間違っている。読書をすることで体験の質が高くなる。
例えば、音楽、絵画、自然を味わうとき、本を読まずセンスだけですべてを把握し得るほど、芸術の歴史は浅くない。


・本の読み方
音読の効果は大きい。
三色の線を引くことで、積極的な読書になる。三色の線は主観と客観で分けて引く。

主観と客観を完全に分けることは難しい場合もあるが、主観と客観をとりあえず分ける練習をすることには意味がある。
三色の切り替えを行なっていると、頭の中で主観客観の切り替えがやりやすくなる。
道具を使うことによって、思考の習慣が身につけやすくなるのである。

これには強く納得させられた。


・個人的に興味深かった点
旅行をしたときには当地ゆかりの作家を読む、というのも良い読書である。
本棚はその人の世界観を表す。例えば著者は「ゲーテの隣に清水宏保を置きたい」という。
また、本棚については「治療文化論」からも引用している。
フロイトの著作の隣にはまちがってもユングではなくむろんアードラーでなく必ずアブラハムが来なければ気が狂う私である。」
読書は技であるので、一度読書が身につくと簡単には落ちない。
運動部出身者は、基本の反復練習の重要さをからだで理解しているので、読書も一度はまるとものにしやすい。

おすすめの文庫100冊

最後に著者の100選がある。そこから私が読もうと思ったものをメモ。

エッカーマンゲーテとの対話」
福沢諭吉「福翁自伝」
九鬼周造「「いき」の構造」
三浦綾子塩狩峠

他にマクベスファウストカラマーゾフの兄弟デミアンツァラトゥストラも読んでいないので読む。