南極の図書館

ペンギンが寝ていた…。

一番いいSFを頼む「星を継ぐもの」

本エントリにはAmazonの商品説明以上のネタバレはなし。

はじめに

プログラマの読む本」の統計を取ると「SF」は間違いなく上位にくる。
議論するまでもなく、「未知の技術」または「最先端の技術」、それに「謎解き」といったキーワードは、多くのプログラマが惹かれるものだ。
しかし、どうも私はそういう気質に欠けているのかSFは読んだことがない。
むしろ難しそうだと敬遠する始末だったが、知的好奇心が少ないのは決して良いことではない。
それに、本が好きだと言いながら『SFはひとつも読んだことがありません』というのはちょっと無しだなと思ったので、この機会に門を叩くことに。
さしあたり、タイトルを聞いたことがあり、ここ10年以内の作品では無く、目立つところに置いてあり、Amazonの評価と売上が良かった本書を選んだ。


星を継ぐもの (創元SF文庫) ジェイムズ・P・ホーガン (著), 池 央耿 (翻訳)


商品説明はこちら。

星雲賞受賞作】
月面調査員が真紅の宇宙服をまとった死体を発見した。綿密な調査の結果、この死体は何と死後五万年を経過していることがわかった。果たして現生人類とのつながりはいかなるものなのか。やがて木星の衛星ガニメデで地球のものではない宇宙船の残骸が発見された……。ハードSFの新星が一世を風靡した出世作。

現代ハードSFの巨匠のデビュー作!
小野不由美さんが推薦! 「SFにして本格ミステリ。謎は大きいほど面白いに決まっている」

こんなところで小野不由美さんが出てくるとは。『十二国記』の続編をよろしくお願いします。

概要

発売は1977年、日本語版は1980年。
商品説明の通り、舞台は少しだけ未来の地球(と月)から始まる。


読み始めて数ページは、状況が分からない上に表現が特徴的(SF的なのか?)なのでなかなか読み辛いのだが、少しすると慣れてくる。
登場人物は、カバーにも記載されているが「原子物理学者」「生物学者」「言語学者」など。
内容も「ハードSF」と言われている通り「なるほど、サイエンスだな」という感じ。
難解だが専門用語でついていけないなどというわけではなく、例えば5万年前に地球がどうなっていたかを知らなくても(私はよく知らなかった)十分楽しめるので安心して欲しい。
なんといっても「フィクション」なのだから、科学の厳密さは求められない。


読めば読むほど、進めば進むほど面白くなり、後半は全くたるまず最後までいってしまう。
どんどん面白くなるということは、相対的に見ると序盤が少しもっさりとしているとも言えなくはないのだが、
導入部分はしっかりと一歩ずつ進まなければならないし、物語の空気というものも創っていかなければならない。
それが後半のおもしろさの土台になるのだから、配分もしっかりしていると言える。

終わりに

確かに「ハードSF」だが、科学に明るくなくてもSFを読んだことがなくても十分楽しめる。
有名な(有名すぎる)作品だし「SFを読んでみようか」という人に特にオススメ。(私がそうだったように。)
最後に、気にしている方も多いと思う「翻訳」は、個人的には十分満足。上手すぎるくらい。


※後日追記
SF作家ジェイムズ・P・ホーガン 逝去|お知らせ|東京創元社


続編は見送る予定だったけど、買おうかな。